ゴー宣DOJO

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泉美木蘭
2016.1.7 06:55

七草がゆと閉ざされた職人への道


七草がゆを土鍋いっぱいに作ってしまい、
今朝からぼちぼち消化している病み上がりのわたしです。
3が日過ぎから風邪ひいて発熱してました。

ああ、おかゆは薄味にかぎる。胃にやさしい。おばあちゃんの味。
私がつくったおかゆだけど。

でもやっぱり、田舎と東京の往復は、金に糸目をつけることなく、

できるだけ短時間に済ませるべき年齢になったのだと悟った。
あっ、体にムリさせたな、と感じるや、てきめんに風邪ひくようになったもん。
そもそもこの1、2年で大きな体質の変化があった。
金属アレルギーがひどくなり、いよいよピアスNGになったし、
いつも飲んでいた咳止めの薬で薬疹が出ちゃったし、
洗顔後の化粧水を別のものに変えたら、顔と手のひらに発疹がでるし。
いやだなあ。
いままでなんでことなかったモノでも、年齢を重ねて、
「ムリ、ムリ、もうムリだから!」って体が言うようになってきたという。
今後は、毛染めの薬も気をつけないとな。

ってな感じでいつもと変わらず愚痴満載の年初めだったけど、
今朝目覚めると喉のいがらっぽさもとれて、まあまあ寛解したので、

さあ原稿やろうかなーと席についた

・・・ら、突如として隣のビルのコンクリ解体作業が派手にはじまり、
ドガガガガガガ! ギュイイイイイイイイ!
ズゴゴゴゴゴゴゴ! ダダダダダダダダダ!
なんつう、とんでもない爆音と振動が。

びっくりしてベランダに出てみると、粉っぽいなにかがファッサーッと
降りかかってくるし、干しといたバスマットなんか、その粉っぽいもので
カビ生えた
みたいになってるし!
ちょっとちょっとおー!!!
そんな破壊作業するんだったら、あたしに一声かけなさいよお!!
あたしも破壊したいんだよっ!!
あたしだってハンマーでビル殴りたい!!
あたしだって火花がんがん散らしながらごっついブロック切りたい!!
あたしだって粉砕機に乗り込んで、ガツンガツン暴れたいんだっ!!
デストロイさせろーーーーーーーーーーっ!!

・・・と思いながら、バスマットを布団たたきで激しく叩いてアピールしたら、
少したってから、責任者らしき人が玄関先へ挨拶にきたのだった。
よっぽど私の破壊願望が殺気を帯びていたんだと思う。

そういや昨年の春ごろ、新宿二丁目の行きつけのジンギスカン屋で、

よく会う職人さんに肩をたたかれて、

「姉ちゃん、タイル貼り職人やらないか? 実働4時間、日当1万4千円から。
必要な左官道具とヘルメットと作業着はうちの組からプレゼントしてあげよう!」

と誘われ、おお、一度手に職つけておけば、一生食える仕事じゃないか!
と考え、さっそく伊勢木綿製の女性用地下足袋をいくつか見に行ったりして、
ほとんどその気になっていた時期があったんだけど、
なぜか周りの人たちにものすごく熱心に止められて、諦めたことがあった。
ホテルのバスルームでのタイル貼り換え職人で、日焼けもしないし、
チェックイン開始の14時までに確実に終わる現場で、土日祝休み、
工期までに自分の現場を片付けたら、その後は休めるというから、
やってみたいなあと思ってたのに、みんな、
「あまりにも道が違いすぎる!」って。
そうかあ? もっと極端に違いすぎる道を歩いてきたのに。
ずっと着実でいいじゃん。


あのとき職人の世界に入っていたら、

「そろそろビルの破壊、やってみるか?」「はい、やってみたいです!」

ってな感じで、ゴーグル嵌めて、ハンマーでビル殴って・・・・ないか。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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