ゴー宣DOJO

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泉美木蘭
2015.8.24 03:13

表情と語り口調

占いをあまり必要としない人間なので、
氾濫する星座占いの類は、右から左へ流れてゆくのですが、
人相占いの話になると、「それ、一理あるかも?」と、
目を留めてしまう私です。

たとえば、同じ目鼻口を使って作られた顔が複数あったとして、
でも、仕事や、趣味、生活や思考パターンがそれぞれ違えば、
おのおの違う筋肉を使って表情を作るパターンができて、
それが顔に刻まれて、特徴として出ることになる。
『似てるけど、違う人』『同じパーツの、違う顔』になる。
顔というより、表情か。

科学者は科学者らしい表情をそなえた顔をしているし、
読書好きは読書好きらしい顔をしているし、
ひたむきで純粋で、子供らしさも、良い生意気さもある高校球児、
厳しい訓練を乗り越えて使命感を帯びた顔の自衛隊員、
いつも子供たちを見守る優しさの溢れた顔の保育園の園長先生。
人前に出ている人は、不思議と見られる顔に変わっていくし、
悪事に手を染めた人は、表情も染まっていくように思うし、
性欲の解消ばかり考えてる人は、そういう顔に・・・。

総理大臣なんか、就任したときと、辞任するときでほぼ別人だし。

私には宇宙飛行士の油井さんに超絶そっくりの知人がいて、
テレビで油井さんの映像を見るたびに笑えてしまうほどなんだけど、
昨日、宇宙へ飛ぶ前のインタビュー映像を見ていたら、
やっぱり違う人だなあと思った。(そりゃそうなんだけど)

私の知人は、人を楽しませるために、相手の反応を気にしながら話す
タイプなので、声のトーンが高くなりがちで、抑揚や身振り手振りが
はげしく、黒目がいつもきょろきょろ動いている。
一方で、油井さんは、終始落ち着いたトーンで、声に抑揚はあっても、
その振れ幅が狭く、非常に冷静沈着で、精神的に非常に安定した人
なんだなと感じた。眉も黒目もあまりきょろきょろ動かない。

宇宙飛行士の選抜試験のなかには、密閉された狭いスペースに、
受験者10人程度を一定期間共同生活させて、日々の課題を与え、
24時間監視カメラで彼らの様子を観察するというものがあるらしい。
ストレスフルな環境のなかで、人とどのように接し、どんな反応を見せ、
問題が起きてもいかに冷静沈着でいられるか、打開する力があるのは、
協調性があるのは誰なのかを見極めるという。

なるほどなあ。
紙にぺろっと書かれた答案用紙や、身体検査の数字だけでは、
決して人間を判断することはできないのだ。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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テーマ: ゴー宣DOJO in広島「原爆の悲惨さはなぜ伝わらないのか?」

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