かねて天皇陛下は、社会的に弱い立場にあったり、
困難な状況に置かれたり、様々なハンディキャップを
背負っていたりする人々に対して、取り分け御心を寄せてこられた。
障害者へのお気持ちも深く厚いいものがおありだ。
現在の全国障害者スポーツ大会(前身は全国身体障害者スポーツ大会)
も、元々は皇太子時代の陛下のご提案がきっかけとなっている。
皇太子時代には、こんな発言もされている
(昭和53年、45歳のお誕生日を前に)。
「毎年、身体障害者全国大会に行ってます。
それから、各地の身体障害者の施設を訪問している
わけですけれども、身体障害者でない人が身体障害者のことを
本当に考えるということは非常にむずかしいことなんじゃないか、
気持ちを同じくすることは本当にむずかしいんじゃないかと
いつも感じるわけなんです。
…身体障害者も、スポーツを、健康のためとそれから
心の健康のために、味わってほしいと願うわけです。
しかし、身体障害者の人がスポーツをやるというのは、
今はまだあまりにも障害が多いわけです。
就職の問題とかありますけれども、
そういうことを別にしても、施設なんかが
足りないわけなんですね。
バスケットなんかでも、2時間くらいかけて行って
練習してくるような人達がほとんどなんじゃないかと思うんです。
何とか皆が少しでもスポーツを楽しめる、
それによって、心の明るさも健康も作っていくように
なっていけばいいんじゃないかなと、いつも考えているわけなんです」
と。
そうした中で、障害者スポーツは目覚ましく発展した。
その結果、先頃、障害者スポーツにも天皇盃・皇后盃が
下賜されることになった(3月13日、宮内庁発表)。
「障がい者スポーツは、もともとリハビリとして
始まったものでしたが、天皇陛下は早くから、
一般のスポーツと変わらずに、これを行う人は勿論のこと、
観戦者とともに楽しむスポーツとして発展して行くことを
期待されてこられました。
昨今、障がい者スポーツの記録が健常者に追いつくほどの
高水準に達している競技も数多く見受けられるようになり、
リハビリを超えた競技性の高いものとなってきました」
(宮内庁)
そうした観点から、天皇陛下のご譲位の前に、
新しく障害者スポーツを対象とした天皇盃・皇后盃の下賜が、
決まった。
対象となるのは以下の大会だ。
日本車いすバスケットボール選手権大会(優勝チームに天皇盃)
日本女子車いすバスケットボール選手権大会(優勝チームに皇后盃)
飯塚国際車いすテニス大会(男子シングルス優勝者に天皇盃、
女子シングルス優勝者に皇后盃)
全国車いす駅伝競争大会(優勝チームに天皇盃)
障害者スポーツに携わる人々には大きな励みになるだろう。
又、障害者スポーツそのものの社会的評価も一層、高まるだろう。