私の周囲からよくこんな声を聞く。
「ゴー宣道場によく一流の憲法学者が何人も参加してくれますね」と。
よほど珍しい出来事と思っているようだ。
それも無理はない。
学者の世界では、ごく一握りの「確信犯」を除き、左右を問わず、
思想的・政治的に強いメッセージ性を孕む行事には、積極的に参加
しないのが普通だろう(学会や大学、公的機関、新聞社等の催しなら
ともかく)。
まして「小林よしのり」という知名度が高く“刺激的”な名前が
出てくれば、腰が引けて敬遠したくなるのは当たり前。
もしご本人が小林氏の愛読者や理解者であっても、
一般に流布している「虚像」の巨大さを、慎重に考慮せざるを
得ないからだ。
しかも、憲法論議がこれから高まろうとしているタイミングを
考えると、「憲法」学者としてはますます参加を控える事になろう。
それでも勇気を奮って、リスクを覚悟で参加して下さるのは
(勿論、山尾志桜里衆院議員の登壇が大きくプラスに作用している
とはいえ)、道場での議論の「公的」な意義をきちんと理解して下さ
っての事だろう。
既に登壇を約束下さっている先生方には改めて敬意を表したい。
更に、憲法学者の人選から参加の交渉までを一手に引き受けて、
献身的に努力してくれている倉持麟太郎弁護士の情熱にも、
深い感謝の念を捧げる。
この点は、道場の他の師範が束になっても敵(かな)わない貢献だ。
彼の“縁の下の力持ち”的な努力がなければ、立憲的改憲への
我々の取り組みは、遥かにみすぼらしいレベルにとどまらざるを
得ないはずだ。
思えば、昨年のご譲位を可能にする特例法も、もし彼がいなかったら
一体、どういう形になっていたか。身近な友人ながら(又、思わぬ
騒動もあったが)、客観的かつ公正に評価しておく必要があるだろう。