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小林よしのり
2018.2.18 04:22日々の出来事

「スリーパーセル」論争の結末


三浦瑠麗の「スリーパーセル」妄想発言によって、

ネット内で議論が白熱している。

おそらく来月のエセ保守論壇誌は、破壊工作員が潜伏

しているという記事を量産するのではないか?

その方がネトウヨにはウケるから商売になる。

 

せっかくわしが評価した古谷ツネヒラは、三浦瑠麗は

在日差別発言をしていないから、工作員の議論と

在日差別を結び付けるなと、馬鹿なことを言い出した。

これだから、やっぱり古谷って、バランスが悪い。

 

「一般市民を装って潜伏している工作員やテロリスト」

とテレビで吹聴すれば、在日コリアンに対する「恐れ」

「偏見」を持たざるを得ず、在日差別を助長するのは

当然ではないか!

 

東浩紀氏が「テレビの地上波でそんなこと不用意に

言ったらヘイトの口実に使われるに決まってる」

断じ、「諸悪の根源はそもそも『なんでもかんでも

韓国朝鮮人を難癖つけて叩こうとする腐った日本人』

どもなんですよ」とツイートしたという。

東浩紀は三浦瑠麗に篭絡されたのだろうと思っていた

ので、この意見には安心した。

ちゃんと「常識」を保っていた。

 

かつてテレビで青山繁晴はこう言った。

「北朝鮮の工作員が2万人いる。彼等が無差別テロ

をやる可能性がある。毒ガスは拡散するからその場

にいなければ大丈夫だが、天然痘ウイルスをまかれ

たら、飛沫感染し、日本では天然痘患者を診ている

医師は少ないので余計に厄介。急な発熱、頭痛の後、

顔や頭に発疹し全身に広がると要注意。」

もうムチャクチャだろう。

青山繁晴はこういうデマをまき散らしてきたのに、

炎上せず、国会議員になってるのだから日本人の

リテラシーのレベルは相当に低い。

 

だが、こういう意見が平然とエセ保守論壇村には

浸透しているのだ。

だが、その噂話は、テレビという公共性の高い場で

安易に公表していいものではない。

青山の発言を聞いたネトウヨはこう応じている。

「厄介なことに朝鮮人は日本人と識別が困難なのです。

白人や黒人なら、見分けがつきますが、工作員が警官

や自衛官の制服を着て、破壊活動を行うこともありえ

ます。」

こんな始末なのだ。

 

「ブロゴス」で高英起氏が「スリーパーセル論争に

隠された虚しい現実」という文章を書いているが、

これが一番、信ぴょう性のある分析だ。

ようするにテロ活動を行うために日本に工作員を

潜伏させておく資金力が、もう北朝鮮にはないと

いうのだ。

高氏は明確に断言する。「そんなものはいない」と。

この議論を聞いていると「虚しい」と言っている。

 

国際政治学者と言っても、デマを堂々とテレビで

言ってしまうほど、バランス感覚が狂っている。

だからわしは、三浦瑠麗は「未熟」だとブログで指摘

しておいたはずだ。

ちゃんとわしの忠告を聞かないから、こういう始末に

なる。残念なやつだよ、まったく。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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