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小林よしのり
2018.1.13 23:42日々の出来事

坂田超えが必要だ


今日中に『おぼっちゃまくん』の作画を終わらせたい。

全何話になるか分からないが、まだまだこれは2本目だ。

コンテは今年になって3本目を描いた。

 

筆ペンの使い方に段々、慣れてきた。

これからはつけペンから筆ペンに移行したいが、

まだまだ細部の線はつけペンでなければ出せない。

使い始めの筆ペンは細い線も出るのだが、すぐに筆先が

緩んで、細い線が出なくなる。

新しい筆ペンに替えればいいのだが、まだインクが

いっぱい残っているのに捨ててしまうのがもったいなくて、

しつこく使い続け、細い線はつけペンに頼ってしまう。

ケチなのだろうか?

どんどん筆ペンを使い捨てるべきか?

 

『おぼっちゃまくん』にこだわるのは、ギャグ漫画が

不作の時代だからである。

多分、お笑い芸人に異形の者たちが続出したから、

漫画のキャラでは刺激がなくなってしまったのだろう。

 

だが、漫才やコントも練り込んだ芸で見せる者は滅多に

いない。テレビで見るのは一発芸ばっかりだ。

ときどき大阪のよしもとを見に行くが、有名な芸人でも、

以前爆笑したネタと同じものをやっている場合は笑えない。

次々に新しいネタを考えるのは難しいのだろう。

 

ただし、アホの坂田だけは別格だ。

アホの坂田は飽きないし、ネタ以前のアホの真髄を極めた

人間の可笑しさだ。

これは一代限りの芸で、誰も越えられない。

生身の人間でアホの坂田を超える芸人は出て来ないだろう

から、わしが漫画で坂田超えをしたいと思っている。

だからわしはギャグ漫画を描き続けなければならない。

 

最近、よしもとは芸人を抱えすぎて、活躍の場が足りなく

なったのか、ワイドショーのコメンテーターに売り込ん

だり、政治評論家にしようとしたり、場を広げるのに

躍起になっている。

もともと頭が悪いから芸人になったはずなのに、

ワイドショーや政治評論で、善人ぶってる芸人を見ると、

ムカムカして、奴らが滅びるのも間もなくだと予感がする。

 

芸人なんて河原乞食の末裔のくせに、常識振りかざして、

コメンテーターしたり、超未熟な政治知識で正論こいたり

してるのを見ると、吐き気がする。

わしは「坂田超え」のために、もう一度、ギャグ漫画を

復活させたい。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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