ゴー宣DOJO

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笹幸恵
2017.12.22 15:04

デカおじさんとゆず

「思うとおりにはいかないのよ」

「はーーーー、思うとおりにはいかないの」

 

大学の講義の帰途、電車で私の隣に座った

デカいおじさんがブツブツ言っていた。

横目で見たところフツーの会社員。

50代も半ばだろうか。

 

「思うとおりにはいかない・・・はーーー」

 

な、なにに対してつぶやいているんだろう・・・。

会社でミスでもしたか?

ストレスでもあったか?

 

ゴゴゴゴゴ。

グググググ。

スマホの着信の振動かと思ったら、

デカおじさんの唸り声。

 

うわー、相当ストレスたまってるわ。

 

で、私はそのまま、最寄り駅で降りて、

スーパーに夕飯の買い出し。

 

今日は冬至だからね。

ちょっと季節感出して、ゆず湯にでも入ろうかね。

と思って、果物コーナー行ったらアータ、

ゆず1個(しかも小サイズ)300円!!!

しかも残りはたったの1個!

 

げげ。

ここでカゴに入れなきゃ、誰かが買っちゃう。

けど300円。

鶏肉250グラム買えちゃうよ?

出来合いのカップスープだって8袋入りが買えちゃうよ?

キャベツ250円が高いと思って買うのをやめた私に、

このゆずを買え、と!?

 

ないわ・・・

まったく客の足元を見る商売しやがって。

仕方なくゆずの香りの入浴剤を買った。

 

「こんなこともあるさ」と思っていたら、

テレビにゆず湯の映像が流れた。

どこぞの動物園か温泉か、

カピバラが溢れるほどのゆずを湯に浮かべて

のうのうと泳いでた!

 

ゴゴゴゴゴゴ。

ググググググ。

 

これは私の唸り声。

 

「思うとおりにはいかないのよ」

隣に座ったデカおじさんのつぶやきが

脳裏によみがえる。

まったくだよ、デカおじさん。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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