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高森明勅
2017.11.29 06:40

特例法「日限り」再読

天皇退位と皇嗣即位が「別の日」とされている件。

私なりに改めて情報を集め、再検討した。

その結果、特例法第2条に「日限り」とある箇所に
注意すべき事に思い至った。

念のために条文を引用する。

「天皇は、この法律の施行の日限り、退位し、
皇嗣が、直ちに即位する」と。

で、その施行日は政令で定める(附則第1条)。

その場合、政令を閣議決定する前に、
皇室会議の意見を聴かなければならない(同第2項)。

これによれば、ある日(3月31日、4月30日など)

同法を施行すると政令で決めたら、その「日限り」で天皇は
退位」される事になる。

その日の午後12時まで在位され、
翌日になる“瞬間”に退位される。

一方、皇嗣は「直ちに」つまり“同瞬間”に「即位」される。

それが翌日の午前0時。

前日(例えば3月31日)の午後12時と
翌日(例えば4月1日)
の午前0時。

同じ瞬間だ。

これならば、「空位」を生じない。

上皇と皇太子“だけ”の「天皇不在」の時間も現れない。

別の日」問題は解消されるだろう。

但し、儀礼の執行はどうするか。

皇嗣即位の当日に「剣璽等承継の儀」などを
執り行われるのは当然。

一方、退位式のタイミングは?

同じ日に上皇として、「剣璽等承継の儀」に先立って、
前日限りで退位した事実を確認する形で、行われるか。

それとも、前日に天皇として、
この日限りで退位される旨を予め示される形で、行われるか。

熟慮を要するところだろう。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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