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笹幸恵
2017.11.4 05:40

高山先生の『共謀罪の何が問題か』

遅ればせながら、次回道場のゲストである

高山佳奈子先生が執筆された

『共謀罪の何が問題か』を読みました。

 

「テロ等準備罪」は、オリンピックのために

成立が必要だと言っていたのに、全然関係ないこと。

 

オリンピックで想定されるのはイスラム国のような

テロだけれど、これには全く対応していない

(たとえば単独の自爆テロは対象外である)こと。

 

もともとの共謀罪法案は国連国際組織犯罪防止条約(パレルモ条約)

参加を目的に作られたものだが、これはテロ対策ではなく

マフィア対策であること。

 

あとから「テロ等」とくっつけても、中身がテロとは

ほとんど関係ないこと。

 

これまでも日本はテロ対策として、国際条約などが

できるたびに国内立法を行ってきたこと。

 

600以上あった対象犯罪が300に減っているが、

除外した中には「公権力の私物化」「経済犯罪」が多く、

マフィア対策にもそぐわないばかりか、

政治家や警察、一部の財界人に有利になっていること。

 

さらには何をもって「組織的犯罪集団」とするのか、

何をもって「計画」を立て、「準備行為」とするのか、

まったく限定されていないこと。

 

誰もが通信傍受の対象になり得ること、

監視・密告社会になり得ること、

表現活動や教育・研究が制約され得ること……。

 

これまで道場やブログなどで

取り上げられてきた話もありますが、

ただ単に「なんとなく怖い」とか

「ちょっとオカしいんじゃないの」という

漠然とした感覚ではなく、理論的になぜオカしいのか、

高山先生がきっちり説明してくださっています。

 

読むと、その無茶苦茶さに、あらためて腹立たしさが

よみがえってきます。

いえ、怒りを通り越しておぞましささえ感じます。

 

最も効果的なテロ対策は、安保法制をやめること。

ほんと、その通りだと思います。

アメリカにすり寄るために、自ら日本という国家を

解体しようとしている。

そこには父祖たちの血や知恵や歩みを踏みにじり、

法治国家としての最低限のルールや矜持さえも捨て、

対米従属という名の自己保身に走る安倍政権の姿が

浮かび上がります。

 

ブックレットなので、とってもコンパクト。

共謀罪の要点を押さえておくのに最適です。

「今さら」と言うなかれ。

権力の肥大化がよーーくわかる事例の一つです。

今後に生かすべし。

国民が賢くならなきゃ、肥大化を止められません。

 

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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