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倉持麟太郎
2017.10.16 02:33

自民党党内政権交代選挙に!大人な民主主義の第一歩

いよいよ総選挙も折り返し地点を過ぎ、今週で勝負が決する。

新聞各紙は「自公で300超」、と打ち、現有をさらに上回るという、目まいがしそうな報道も飛び交う。

 希望の党が自滅・失速してしまった今、もはや今回の選挙は政権選択選挙ではない。政権交代ではなく、安倍総理大臣(自民党総裁)YES or NO?選挙、自民党「党内政権交代」選挙だ。

 かつての自民党のように党内政権交代や自浄能力が欠如しているのは、まさに安倍1強と言われる中、人事権というハンドルを強く握った官邸が党内政治を完全に掌握しているからである。7月の都議選惨敗後は、石破氏を含めて少し異論も出始めざわついたが、内閣改造を経て、内閣支持率は回復傾向を見せ、殺菌され人工的に浄化された空気が取り戻されつつあった。この空気にお墨付きをもらうための最大の手段が今回の選挙だ。

 安倍総理自身の2014年からの政策といえば、アメリカ議会で先に約束をして熟議を経ずに通した欠陥まみれの安保法制、陛下の意思と国民の総意をまったく無視した有識者会議と「一代限りの特例法」、我々のプライベートに権力の目と耳が溶け込む「もの言えぬ」社会構築のための共謀罪、戦力と交戦権という不都合な真実に向き合わない嘘を固定化する歯止めなき「9条加憲」、その他、アメリカへの隷属と、ロシア・北朝鮮外交、労働環境を含めた労働現場の適正化の放置、格差と貧困、待機児童問題の改善の延期・・・上げればきりがない。まずは、この政権のこの3年間とこれからの政権運営に正当性を与えていいのか、という問題。そして、さらに言えば、我々の社会は、権力の循環をしない社会でいいのか、ということが問われている。

 大事なのは、同じ権力がずっと同じ場所にいれば、必ず腐敗する、ということである。私は、たとえ自分好みのリベラルな保守勢力が政権をとったとしても、定期的に入れ替わってほしいと考えている。権力は、循環しなければ腐敗するからだ。

 そろそろ国民も大人にならないといけない。権力の座に長く居座り続けている人がいたら、変わってもらう、本来であれば、常にその代わりになるようなオルタナティブを国民が育てる。それが、民主主義の安全弁である。

 スポーツでも、松坂のあとはダルビッシュや田中マーくんが、そして今度は大谷が出てくる。どの世界でも、必ず次のスターが現れる、これを全国民で批判して叩いてつぶして、とやっているか?そんなことをしたら、その業界は死に絶える。なぜ政治だけこれをやるのか?

我々の民主主義はこれでいいのか?

政権交代の選挙ではなくなった、しかし、党内政権交代を誘発することはできる。自民党を健全化することが、自民党に投票しないことで達成できる。

ポイントは「55」である。自民党の単独過半数が割れるのは、議席の55減である。現有の287から55を引くと、232となり、過半数を割る。

そうすれば、党内ガバナンスとしては、今までのように強くハンドルは握っていられない。必ず異論が噴出し、いわゆる安倍1強にも亀裂が走る。

 そのための「受け皿」はいくつもあるではないか。立憲民主党もできた。たしかに希望の党は、保身のために信念を曲げた集団であり、排除の集団であることは間違いないが、ここは戦略的に投票しよう。自民との一騎打ち選挙区は簡単だ、非自民に入れればよい。目標は、自民党の議席を55減らすことだ。この1点にしぼって、大人な我々が、大人な投票行動に反映させよう。すべては、大人な民主主義の一歩を踏み出すために。

倉持麟太郎

慶応義塾⼤学法学部卒業、 中央⼤学法科⼤学院修了 2012年弁護⼠登録 (第⼆東京弁護⼠会)
日本弁護士連合会憲法問題対策本部幹事。東京MX「モーニングクロ ス」レギュラーコメンテーター、。2015年衆議院平和安全法制特別委員会公聴会で参考⼈として意⾒陳述、同年World forum for Democracy (欧州評議会主催)にてSpeakerとして参加。2017年度アメリカ国務省International Visitor Leadership Program(IVLP)招聘、朝日新聞言論サイトWEBRONZAレギュラー執筆等、幅広く活動中。

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