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小林よしのり
2017.9.28 14:31政治

「希望の党」に対する国民の考え方


前原代表はよく決めたものだ。大した男になった。

民進党の議員たちも「私心」を捨てて、よく「公」のために

同意した。

 

これを選挙目当てとか、看板の掛け替えだけとか、そんな

セコい見方しか出来ないのなら、それは政治家ではなく、

「政治屋」か、あるいは「エセ言論人」レベルの人間だろう。

 

民進党のままで勝負しても、前回よりは議席を微増させる

ことは出来る。

確実に議席を減らすのは自民党なのだ。

 

だがそれでは安倍政権を倒すことには繋がらない。

野党が票を食い合って、その分、安倍政権が得をするだけ。

小選挙区制は二大政党で、政権交代の可能性を高めて、

政治に緊張感を持たせるために採用したものである。

国民に、政権交代はあり得るという希望を持たせなければ、

小選挙区制にした意味がない。

 

それは権力をとる政党や政権にとっても、傲慢な政権運営や、

権力の私物化や、権力の座に胡坐をかいた気の緩みを防ぐ

ことが出来るシステムだ。

 

左派リベラル勢力は「希望の党」も安倍政権に負けず劣らず

の「右派」か、「極右」だと思っているようだ。

 

逆に安倍政権に異様な愛着を示す自称保守の連中は、

「希望の党」なんか寄せ集めのポピュリズム集団と、今後は

悪罵の限りを尽くすだろう。

 

だが、愛着ある自分の政党を解体してまで、出現したばかり

の「希望の党」に身売りするような行為が、民進党の議員に

とって、どれほどの覚悟が必要か、「政治屋」や「エセ言論人」

には分かるまい。

わしだって民進党のままで勢力拡大をして欲しかったのだ。

辻元清美のような護憲派の議員にとっては、身を引き裂かれ

るような辛さだろう。

 

自分の家から放り出されて、昨日できたばかりの、よそ様の

家にお世話になれと言われるのだ。

それを言われる議員たちも、それを言わねばならぬ前原代表も、

どれだけの覚悟が必要だったか・・・。

 

だが、「国民に選択肢を与える」「安倍政権に不満な国民に

希望を与える」という「公心」のみで、自分の家を解体して

しまう道を選んだ民進党の議員たちは立派だ。

 

小池都知事は、これほどの議員たちの大博打を受け止めて

やらねばならない。

「私が選抜する」とか「都知事を続ける」とか、小さな

ことを言うべきではない。

資金も組織も議員の頭数も手中にしたのだ。

 

都知事を辞めたら、途中で放り出したと言い募る者もいる

だろう。

だが、そんなにチャチな話ではない。

都知事選が総理への踏み台になっても、わしはそれを許す。

 

今のような国民を分断し、憎悪を掻き立てるネトウヨ保守

の時代を終わらせて、リベラルも内包できる懐の深い

保守政権を作ったらどうだろう?

小池百合子はしなやかにそれがやれるんじゃないか?

 

そして国民は「希望の党」が成功するか否かなど、臆病な

疑心暗鬼に囚われる必要はない。

クールに言えば、「希望の党」が失敗したら、自民党に戻せ

ばいいだけだ。

そのときは少なくとも安倍政権ではない。

わしは石破茂が総裁で、小泉進次朗が政権に入れる自民党

になっていることを期待する。

 

とにかく今がダメなのだ。

国民は政権交代をさせることによって、民主主義の質を

高めていくしかない。

これほどダイナミックに政局が動く可能性が生まれたのは、

幸運なことだ。

小池百合子は都知事を辞めて、総理を目指せ!

国民も「現状維持」の怠惰な精神を捨てて、冒険をする

気力を出すがいい!

 

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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