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トッキー
2017.9.24 02:28その他ニュース

成熟の反対語は未熟ではなく・・・

門弟・リボンの騎士さんの
投稿をご紹介します!



映画の楽しみ方は、
人それぞれ違うと思うけれど、
私の場合は、非日常とリアリズム、
または非日常の中のリアリズム、
ときにはこの「非日常」を、
ファンタジーと言い換えても
いいかもしれません。
今回観た「ELLE」は、
私にとってそういう作品であり、
別の言い方をすれば、大人の映画でした。

観終わったときは、微熱が出ていそうな、
頭クラクラ状態でしたが、同時にその頭で、
「羨ましい」と思ったものでした。
こういう挑戦的かつ革新的な作品を受け入れ、
楽しむ大衆、そういう土壌や背景がある、
成熟した大人の文化があることが。

数日前に美容院へ行ったのですが、
そのとき読んだ
ファッション雑誌に、
林 真理子のエッセイが載っていました。
書かれてあったことは、最近
不倫スキャンダルで
騒がれている
斉藤由貴について。
スキャンダルが出る少し前に、
林は斉藤と対談をしたらしく、
そのときに斉藤は、
「太っているときは、お母さん役しか
来なかったのに、
ダイエットをしたら、
いろいろな女性の役が来るようになった」
と言っていたらしい。

少し考えれば、ダイエットだけの
わけがありません。
痩せるだけで、
魅力的な女性(を演じられるよう)に
なるなら、
こんな簡単な話はない。
これも斉藤由貴自身が言っている
ことですが、
彼女と夫を繋いでいるものは、
子供と、そして宗教。
なおかつ夫は、縦のものを横にもしない
タイプらしい。
そういう夫の貞淑な妻として、
3人の子供のよき母親として、
いそいそと家事を切り盛りしているだけで、
また、そういう毎日に満足できる人に
できるような、
女優とは、役者とは、表現者とは、
そんな簡単な仕事のはずがありません。

ダイエットだけではないとしたら、
彼女を魅力的にしたのは何か。
考えるまでもないと思いますが、
かと言って、
「不倫したから」
そんな簡単な話でもないでしょう。

斉藤由貴は、今回のスキャンダルで、
これまでCM契約をしていた数社と、
契約を解除した(された)らしい。
CMに関しては、イメージが
大切だったりするから、
仕方のない
ところがあるのかもしれません。
ところがCMだけでなく、
次のNHK大河ドラマへの
出演が決まって
いたのに、出演を辞退した(させられた)
とのこと。理由は不倫スキャンダル、
これしかありません。

もう本当に、ばっかじゃないだろうか、
って思います。

同じドラマに出演予定の渡辺 謙も、
不倫スキャンダルがあったばかり。
出演が取りやめになるのは、
なぜに斉藤由貴だけ?
もちろん私は、斉藤由貴も、渡辺 謙も、
たかが不倫スキャンダルごときで、
役を降りるべきではないと思っています。
だから、そもそもがバカバカしいということ、
あとは、その扱いの差は何だ?
とも思うのです。

女優は、結婚したら、母親になったら、
普通のおばさんしか演じられなくなるのか?
そもそも、普通のおばさんが、
普通のおばさんを演じて、大衆は喜ぶのか?
とんでもない。
普通のおばさんとはかけ離れた女優が、
普通のおばさんを演じるからプロなのです。
非日常を楽しませてくれるプロが、
リアリズムを表現するのが才能なのです。

例えば、沢村貞子は、若い頃から
普通のおばさんを
演じてきたけれど、
実際の彼女は、普通のおばさん、
おばあさんからはかけ離れた女性でした。
70歳を越えても、小股の切れ上がった、
粋で、
はんなりとした色気がある人でした。
ちなみに、沢村貞子の結婚歴は3回。
3人目の夫は、不倫関係から始まった
略奪婚でした。

大衆は、クリエーターや芸術家、表現者に
何を求めるものなのでしょう。
もちろんそれは、人によって違うでしょうが、
少なくとも言えるのは、本来であれば、
道徳やモラルではない、ということ。

成熟の反対語は何か。
普通に考えれば、未熟でしょうが、
未熟となると、いずれ熟するという前提が
あるような気がします。
少なくとも、昨今の不倫叩きで
狂喜乱舞している
大衆に
その気配は感じられません。

文化が衰退すれば、感性は劣化する。
感性が劣化すれば、想像力を削ぎ、
それを育ませず、
想像力の欠如は、大人であるはずの
人間を幼稚なままにしてしまう。

したがって、成熟の反対語は、
「幼稚」でよいのではないでしょうか。



幼稚な人間が、表現をどんどん萎縮させて、
社会をどんどんつまらなくしている。
本当に、ばっかじゃなかろうかと思います。
どうせ大衆は、自分が面白い表現者を
潰してきたことなど自覚もせずに、
「最近、面白い俳優がいないねえ」
とか、平気で言い出すものなのですから。

もう、こんな幼稚な大衆社会に
取り入ろうとしたってムダ!
いま必要なのは、くだらない大衆に
真っ向から立ち向かう
ファイティング・スピリットだと
つくづく実感します。
トッキー

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テーマ: ゴー宣DOJO in横浜「ウクライナ戦争と国際法の行方」

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