骨法整体に行った帰り道、
ポレポレ東中野で『台湾萬歳』という公開中の
映画のポスターが目に飛び込んできました。
『台湾人生』『台湾アイデンティティ』に続く、
酒井充子監督の台湾三部作の最終章だとか。
しかも最終日っぽい。
これは見なきゃ。
というわけで、映画館に飛び込みました。
ドキュメンタリー映画です。
日本統治時代を知る人々に迫った『台湾人生』は、
とても印象的な作品でした。
今回観た『台湾萬歳』は、日本と台湾の過去を基軸としつつも、
「今」をとても大事に生きている人々の日常を映し出しています。
元漁師だった張旺仔さん(85歳)は、カジキ漁を引退後、
今は畑仕事が日課。日本語で畑を案内してくれる。
魚が手に入ると、刺身で食べる。
練りワサビをびっくりするぐらい山盛りにする。
もはやワサビが主役かと思うほど。
ワサビでツンときて、「はあー、から」とか言っている姿が
何だかとても愛らしい。
山で伝統的な狩りをしているブヌン族のダフさん、
キョンを仕留め、その場でさばき始める。
ぶつ切りにして食べていたのはレバーかなあ。
これまたチューブの練りワサビを取り出して、山盛り。
どんだけワサビが好きなんだ。
映画では、とにかく生き物をさばくシーンが出てくる。
グロテスクだけど、本当は、魚や肉が口に入るプロセスって
こうなんだよなあと思う。
スーパーでパック分けされた肉や魚ばかりを見ていると、
つい忘れてしまう。
生活することは、本来、血まみれになったり
土まみれになったりして、もっと手間がかかることだったはず。
月並みな言い方だけれど、便利さにかまけて、
当たり前の生活を忘れてしまっているんだなあ。。。
と、『台湾萬歳』を観てしみじみ。
台湾には、日本人として戦争を戦った台湾人もいる。
しかし戦後、国民党軍に徴兵され、40年以上、
台湾に帰れなかった人がいると知って驚いた。
一方で、国民党軍と共にやってきた兵士で、
そのまま台湾の地方の町に住み着いた人もいる。
彼らの孤独を、ブヌン族のカトゥさんが歌にして、
映画の中でも素晴らしい歌声を披露してくれている。
不覚にも泣けてしまった。
時代に抗う術もない。
人生は哀しい。
けど、人間はたくましくて、どこか温かい。
そんな酒井監督の思いが伝わってくる映画でした。
しかし台湾、やっぱりいいなあ。
ワサビはちょっと苦手だけれども。