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笹幸恵
2017.7.1 17:22

腐臭

人間は、思ってもいないことを

咄嗟に口に出すことはなかなかできない。

私が賢くて立派な言葉を発することができないのは、

このためだ。

逆に言えば、普段、心の中で思っていること、

自分の中で「当たり前」に感じていることは、

あるとき、ふとした拍子に出てきてしまう。

「死ね」とか「バカヤロー」とか、

「豊田真由子様にたてつくのか」といったセリフは、

普段そう感じたり考えたりしているから
カッとなったときに
出てくるのだろう
(しかも立て板に水の要領で)。

 

自民党の二階幹事長。

マスコミに不平不満をタラタラ述べた後、

こう言った。

 

「どういうつもりで書いているか知らんが、

我々はお金払って(新聞を)買ってんだよ。

買ってもらっていることをやっぱり忘れちゃ

ダメなんじゃないかな」

 

彼の言葉を忖度すると、要するに、

「買ってやっているんだから、

俺たちに都合の悪いことは書くな」

ということですよね。

「俺様は金払ってるお客様だぞ!」と

店で喚き散らす悪質な消費者至上主義者と

メンタリティは何も変わらん。

普段からそう思っているんだろうね。

だから「明日、何を書かれるかわからない」と

わかっていながら、つい口から出ちゃったんだろうね。

 

本人は苦言を呈しているつもりなのかもしれないけど、

苦言がこのレベルなんだから、底が知れる。

マスメディアの存在意義を、根本的なところで

まったく理解していないのが我が国与党の幹事長。
呆れてモノも言えないが、
ただ一つ言えるのは、
権力が腐敗し、腐臭を放っている様を、

いま、私たちは確かに目撃している
ということだ。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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