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高森明勅
2017.6.4 22:00

2→4→5→3

皇位継承のこれまでと今後。

最もシンプルにまとめると、2→4→5→3となる。

これは皇位継承資格を縛る要件の数。

今が5。

1)皇統に属する。
(2)男系。
(3)嫡出(嫡系)。
(4)
男子。
(5)皇族。

歴史上、最も窮屈な縛りだ。

以前は側室の存在が前提。
だから、庶出(庶系)
にも継承資格を認めていた。
つまり(3)の縛りは無かった。
また前近代では10代の女性天皇がおられた。
つまり(4)
の縛りも無かった。
更に、大宝・養老令には「女帝の子」

父親の皇族の血筋(男系)ではなく、
母親の天皇の血筋(女系)
で位置付け、
かつ皇位継承資格を認めていた。
しかも養老令は形式上、前近代の国家体制を規定する
法典であり続けていた。

つまり(2)の縛りも無かった。

前近代の縛りは(1)と(5)のみ。
よって、これまでの継承資格の要件の数は、
2→4→
5と変遷して来たことになる。
だが明治の皇室典範で(2)と(
4)を追加した時に、
不可欠の前提とされていたのが、
側室から生まれた)庶出(庶系)による継承だった。

(3)は、明らかにそれと齟齬する。

要件の(2)(4)と(3)は両立不可能。
だから問題はこうだ。

要件の(2)(4)を維持するなら、
(3)を解除しなければならない。

(3)が解除出来ないなら、(2)(4)を
解除しなければならない。

そのどちらを選ぶか。

しかし、側室の復活があり得ない以上、
3)を解除出来ないのは自明だろう。

よって、もし皇室の存続を望むなら
(2)(4)の解除は避けられない。

つまり今後、皇室典範の改正によって
改めて設定されるべきは、(
1)(3)(5)の3要件となる。

5要件のまま、いかに小手先だけの対応をしても、
何ら本質的な危機の打開には繋がらない。

要件数の5→3の削減が絶対必要だ。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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