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笹幸恵
2017.5.20 14:44

出た!「政治利用」

自民党の伊吹文明が「眞子さまを政治的に

利用するような発言は厳に慎め」と述べたと

産経新聞が報じている。

 

眞子さまのご婚約が内定したことで、

女性宮家創設の議論は「待ったなし」になった。

にもかかわらず、「政治利用するな」と

女性宮家創設を検討しようという民進党を牽制している。

 

「政治利用するな」

 

この言葉を声高に叫べば、誰もが押し黙るとでも

思っているのだろうか。

 

政治利用とは、そもそも誰かがトクをするから

「政治利用」になるわけで、どこかに後ろめたさがある。

その後ろめたさがついて回るから、

「政治利用だ」と言われたら誰もが怯む。

それをわかって伊吹大先生は吠えているのだろうけど。

 

だけどね、よーーーく考えてください。

女性宮家創設の議論で、民進党は何かトクをしますか?

普通レベルの脳みそで考えたって、皇族の減少は明らかで、

女性宮家創設は喫緊の課題。

国家の一大事に対して議論をすべきだというのは

まっとうな国会議員の証拠です。

 

そしてもう一つ、政治利用というのは、

皇族方を政治の舞台に押し出して

政治的な目論見を達成しようとすることでもある。

五輪開催都市を決めるIOC総会で

高円宮妃久子殿下の出席を求め、

スピーチをさせたのはまさにこれにあたる。

復興支援の感謝のお気持ちを述べるという建前だったけれど、

久子さまご自身が、「ここに私がいることに驚いている」と

あえておっしゃって、その上で感謝のお言葉を述べている。

宮内庁長官だって「両陛下も案じていらっしゃると感じた」
と異例の発言。

これは明らかに安倍政権による、皇室の「政治利用」だった。

 

それを、自分たちが女性宮家創設の議論を
したくないからと言って相手を
「政治利用だ」などと
牽制するなんて、あまりにも姑息。

どの口が言う!?

 

 

伊吹大先生はこうも述べている。

 

「男系男子が皇室典範の定めるところによって

世襲していくという考えをどうするのか、

国民が共通の認識を持つ前に女性宮家を創設することは

非常に危険だ」

 

ちなみに共同通信が5月2日に行った世論調査では、

「女性天皇」賛成86%。

「女系天皇」の賛成は59%。

女性宮家創設は62%が賛成している。

 

女性天皇は8割を超える人々が賛成しているのだから、

ほぼ共通の認識を持つと考えていい。

女系天皇と女性宮家創設は過半数は超えているものの、

「共通の認識」とまでは言えないかもしれない。

ならばなおさら、国会議員が議論すべきではないか。

そしてちゃんと国民にわからせてよ。

何が問題になっているのか、

このまま女性宮家が創設されないとどうなるのか。

対策として旧宮家の男系男子を皇室に入れるというなら、

その方々を国民の前でぜひ紹介してほしい。

 

それをしないで「政治利用」などと牽制するのは、

怠慢以外のなにものでもない。

 

伊吹大先生は、さらにこんなことも言っている。

 

「女性宮家の方が外国の方と将来ご結婚して

皇嗣がおできになったとき、

その方を天皇陛下として今までと同じ気持ちで

日本人が仰ぎ見られるかということがある」

 

まったくもって意味不明。

なぜ外国人がここで出てくる?

女系天皇がいやだーーーと思うあまり、

わけのわからない理屈をこねくりまわして

いるようにしか見えない。

 

それじゃあね、悠仁さまが外国の女性とご結婚されることに

なったらどうするのよ。
ちょっと考えられないですけどね、

その懸念のほうがまだ男系派にとって
リアリティあるでしょうよ。

それとも女は誰であろうと構わないって理屈ですかね?

男系でつながってさえいればいい?

タネ・ハタケ理論?

Y染色体信奉者か?

 
彼らは国よりも自分が大事。
自分の支持層が大事。
自分にとって都合のいい権力が大事。
大局的な視点も「公」を考える知性もない。
皇室を頂く資格も残念ながら、ない。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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