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小林よしのり
2017.5.5 04:09メディア

TOC条約は、対テロ目的ではない!


今朝の朝日新聞が報じているが、TOC条約の「立法ガイド」を

執筆したパッサス教授がTOC条約は対テロ目的ではない」

いうことを明言している。

「テロの資金源規制は、法的拘束力を持つ国連憲章第7章に

基づく国連安保理の決議などがある」と言っている。

「既存法で加盟の条件を満たすのであれば、新法の必要はない」

と断言している。

 

なんのことはない。

やっぱりTOC条約はテロ対策の国際条約ではない。

政府が成立させたがっている「共謀罪」も、実はテロ対策に

なっていないのだ。

わしは法務委員会で、テロ対策と言うなら、外国から侵入する

テロリストを阻止せよと訴えた。

そして共謀というが、一人で行うテロには、共謀罪は無意味

である。

 

今まで政府は、「TOC条約に参加するため」とか「オリンピック

のため」とか言ってきたが、全部嘘なのだ。

目的は一つ、「監視社会をつくるため」である。

具体的には、「権力に抵抗する者を監視するため」「国民を監視

するため」「内心の自由を奪うため」でしかない。

 

一方、産経新聞では、権力の犬となり下がった櫻井よしこが

共謀罪・大賛成の意見表明をしている。

共謀罪は、TOC条約批准のために必要不可欠な担保法である」

などと大嘘から始まる文章だ。

これがジャーナリストか?

 

櫻井は「現状では、テロリストが水源に毒を入れ終えなければ

逮捕できない。それでは手遅れだ」などと具体例を出している。

政府の言うがままのオウム返しと化した偽ジャーナリストだ。

 

刑法学教授の高山佳奈子氏は「日本には共謀共同正犯の理論が

あり、現在ある(犯行前の段階の行為を処罰する)予備罪など

と組み合わせることで、条約が求める既遂・未遂の前の段階の

処罰に対応することは可能だ。条約締結のため新たな法律が

必要という政府の説明には理由がない」と述べている。

政府の詭弁も、偽ジャーナリストのオウム返しも、高山氏の

意見にまったく反論できない。

TOC条約は今のままの国内法を基本にして、批准できるの

である!

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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