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高森明勅
2017.4.17 21:00

見逃せない「違い」

有識者会議の最終報告案の概要。

それと国会の合意(議論のとりまとめ)。

共に、ご譲位の為の法整備だけでなく、
今後の皇室の存続への対策について言及する。

しかし、そこには微妙かつ重要な違いもある。

前者はこう述べる。

皇族数の減少に対する対策について速やかに検討を行うことが必要
と。

それに対して、後者は次のようだ。

安定的な皇位継承を確保するための
女性宮家の創設等については…
速やかに検討すべき」。

単に皇族数の減少だけに視野を限るか。

それとも、皇位継承そのものの将来を真正面から見据えるか。

この違いを見逃してはならない。

言うまでもなく、両者の「重み」は全く異なる。

前者は、内閣に設けられた私的な一諮問機関の提言に過ぎない。

後者は、憲法に「国権の最高機関」と明記され、
国民から選ばれた国会の合意だ。

但し、両者が揃って皇室の今後への
懸念を表明した事実は重大だ。

政府は、その事を真摯かつ切実に受け止める必要がある。

これ以上、問題を先送りすることは許されない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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