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高森明勅
2016.12.24 01:00

産経記者は憲法を知らないのか

産経新聞のエース記者、阿比留瑠比氏の記事(12月22日付)
酷過ぎる。

8月8日の天皇陛下の「おことば」は予め内閣が同意し、
その責任で公表された。

その事実は、この度の天皇誕生日に際しての記者会見でも、
陛下ご自身が「
内閣と相談しながら」とわざわざ言及なさった。

ならば、内閣がそこで述べられたお気持ちに添うべく、
最大限努めるのは当然。

それを阿比留記者は憲法に「矛盾してしまう」と断じる。

オツムは大丈夫か。

民進党の論点整理には
天皇の公的な行為に関わる事務は内閣の一般行政事務
憲法第73条)の一種であり、『おことば』については内閣が
責任を負うものである」
と明記している。

陛下のおことばは内閣が責任を負う一般行政事務の一環として、
内閣の了解を得て発せられている。
…したがって、
率先しておことばを受け止め、真正面から対策を講じる
べき内閣の下で、
陛下のお気持ちに反した議論が展開されている」

のは、明らかに異常。

その事実に対し、民進党は「強く憂慮する」と抑制的に指摘したに
過ぎない。

それを「立憲主義に反する」とは。

阿比留記者は、天皇陛下と秋篠宮殿下が揃ってわざわざ言及された、
陛下おことばが内閣の同意と責任を前提に公表された事実すら、
知らないのか。

それとも、民進党の論点整理をまともに読んでいないのか。

或いは、読んでも理解できないのか。

そもそも、憲法の仕組み自体が分からないのか。

産経新聞、お粗末過ぎる。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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