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高森明勅
2016.12.9 01:00

恒久的な譲位制とご公務の柔軟性

ご譲位を巡る有識者会議。

ヒアリング対象も含め、レベルが低過ぎて国民に多大な不安を
撒き散らしている。

メンバー同士の意見交換では、公的行為について
各天皇自らの考えで程度と内容を決めればよく、各天皇、
各時代により異なるべきだ」という意見がほとんどだったとか。

しかし、論理的な思考力が無いのか、
前段と後段が整合していない。

各時代、各天皇で異なる「べき」か否かも「天皇自らの考え」による
べきで、
有識者会議のメンバーごときが、あれこれ嘴を挟むのは僭越
の沙汰。

皇室にお任せすべきことだ。

以前から強調しているように、
公的行為はネガティブリスト原則に
よって、
国民の要望と陛下のお気持ちで、自ずと決まって行く。

よって勿論、柔軟に考える必要がある。

しかし、だからと言って、恒久的な譲位制が不要という話には
全くならない。

譲位制は、別に全ての天皇に譲位を“強制”するものではない。

必要な場合に、陛下ご自身のご意思と皇室会議の議決で、
それを可能にする仕組み。

だから、公的行為の柔軟性を違憲の特例法に逃げ込む口実に使うことは
許さ
れない。

しかも、秋篠宮殿下もつい先頃、陛下のお考えに全面的に
賛同されたばかり。

まさか、その重大な事実を忘れた訳ではあるまい。

能動的・主体的に「役割を果たされる」天皇像か、それとも
ロボット以下の「
存在するだけ」天皇像か。

それが問われている。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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