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高森明勅
2016.11.7 01:00

「武装せる天皇制」から「天皇の伝統的在り方」へ

かつて林房雄氏は、明治以降敗戦迄の天皇の在り方を
武装せる天皇制」と呼んだ。

天皇は統治権の総攬者であり、軍隊を統帥する大元帥でもあった。
それは弱肉強食の帝国主義の時代に、わが国が国際社会の荒波を
乗り越えて行く為に必要な「
国のかたち」だった。

譲位の可能性を排除したり、天皇の崩御に際して6・7世紀頃の
大がかりな殯(もがり)
を近代的に「再構成」した儀礼を新しく
創出したりしたのも、
まさに「武装せる天皇制」の必要に見合って
いた。

だが、それは既に過去の物になっている。

ならば、現代における「天皇の伝統的在り方」に相応しい姿を、
改めて探る必要がある。

天皇陛下がこれまで努めて来られたのは、
まさにその為の
模索に他なるまい。

8月8日のお言葉も、そのようなスケールの大きな転換を見据えた
ものではないか。

勿論、「公務の負担軽減」などというレベルの話ではない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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