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高森明勅
2016.10.27 01:00

秋篠宮殿下の「定年制」批判

一部メディアが、事実をねじ曲げた報道をしている。

以前、秋篠宮殿下が天皇の定年制を唱えておられた、と。

だが、実際は違う。

平成23年のお誕生日を控えての記者会見の場でのやり取り。

記者がこんな関連質問を投げ掛けた。

「天皇陛下の公務に対して、定年制を設けたらどうかというような
意見もありまして、
例えばある程度の年齢になればご公務というのを
減らして、
国事行為に専念していただくという、そういう制度も考えて
いくべきではないか」と。

これに対して、殿下は以下のようにお答えになった。

「私は、今おっしゃった定年制というのは、やはり必要になってくる
と思います。
というか、
ある一定の年齢を過ぎれば、人間はだんだんいろんなこと
をするのが難しくなってきますので、
それは一つの考えだと思います
けれども、じゃ、
どの年齢でそういうふうにするか。
やはりある年齢以降になると、
人によって老いていくスピードは
変わるんですね。
だから、
それをある年齢で区切るか、どうするか、そういうところも
含めて議論しないといけないのではないかと思い
ます」

殿下は記者の質問に対し、一旦は受け入れたような発言をされながら、
結局は緩やかにそれを
否定しておられる。

「というか」以降が殿下の本当に主張されたいところ。

お立場上、また質問者にも配慮されて、明確には述べておられない
ものの、
その趣旨は普通の国語力があれば、捉え損なう余地は
ないはずだ。

ところが、最初のワンセンテンスだけを切り取って引用し、
真逆の報道をしているケースを見掛ける。

また、その誤報、虚報が独り歩きしている気配もある。

要注意。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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