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小林よしのり
2016.10.2 00:03日々の出来事

人間は変わる、成長する対自存在だ


「朝ナマ」で視聴者からわしに質問があって、わしがかつて

描いた『天皇論』から考えが変わっているのかと問われた。

わしは変わっていると答えた。

正確に言うなら、核心は変わってないから、今でも入門書

としては、あれでOKだが、枝葉は変わっていると答えた

方が良かったのだろう。

 

まだ万世一系が男系だと信じていた頃の作品だし、他にも

変化した箇所がある。

すでに文庫版では修正しているのだ。

 

だが、天皇陛下の言動を見てきて、さらに変わった部分も

あるから、改訂版を出す。

これは小学館もOKを出してくれた。

 

天皇論に関しては常に、「今の天皇論」と考えねばならない。

天皇陛下も成長なさるし、わしも成長する。

天皇論は常に「今の天皇論」である。

 

最近の人びとの言動を見ていると、「人は変わらない」と

思い込んでいるかのようで、劣化したなと思う。

「長い人生で、考えを変えない、変わらない人がえらい」

と思っているようだ。

石やモノや動物をえらいと思っているらしい。

 

わしの認識は違う。

「人は変わる。考えもどんどん変わる。より深くなるなら、

それは良いことだ。」というのが、わしの認識だ。

人間は即自存在ではない。石やモノや動物ではない。

人間は対自存在であって、一生を通じて変化し続ける。

わしはそういう考えだ。

 

だから、蓮舫が自分のアイデンティティーを確定しきれて

いない頃の言葉をあれこれ探し出して、「あの時こう言った

じゃないか。」と批判している連中は即自存在、つまり石か

モノか動物なんだろうと思う。

一生を通じて考えがまったく変わらないという石のような

人物がいるのだろうか?

若くして脳が老化した気の毒な人間なのだろう。

 

蓮舫の過去の言動をあげつらうなら、安倍首相の過去の

言動を調べてみればいい。

全部、嘘だったと分かるだろう。

 

わしは新陳代謝の激しい人間で、どんどん成長している。

還暦過ぎてもまだ成長している。

わしはまだ完成形ではない。

わしについてくる読者はきっと一緒に成長しているのだろう。

脱落した人は成長が止まったのだろう。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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