ゴー宣DOJO

BLOGブログ
笹幸恵
2016.8.9 13:18

天皇陛下のお言葉を聞いて

やっと、やっとサイトにつながった・・・。
昨日から何度やってもアクセスできず。
ひええええーーー。

日曜日に行われた大阪ゴー宣道場、
大盛況のうちに終わりました。
高森先生の熱い思いがビシバシ伝わってきて、
背筋が伸びる思いでした。
終わった後は、放心状態でしたよ・・・。

天皇陛下のお言葉の表明、高森先生が出演されている
テレ東の番組で拝見いたしました。
その際の率直な感想を述べたかったのですが、
ゴー宣のサイトが全然アクセスできないので、
個人ブログに書きました。

言葉足らずの部分も多々ありますが、
こちらにも掲載させていただきます。

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平成28年8月8日15時、天皇陛下がビデオメッセージで
「お気持ち」を表明されました。
私は、「第二の玉音放送」のような気持ちで
テレビ画面を見ていました。

「象徴」として位置づけられた天皇の在り方を模索し、
かつ「伝統の継承者」としていかに国民と共に在るかを
考えてこられた陛下の思いを、あらためて感じました。

そして国民と共にあること、国民のために祈る務めを
「幸せなことでした」とおっしゃってくださいました。

その天皇陛下が何を望んでおられるのか。
皇室の専門家でも何でもないのですが、
僭越ながら考えてみました。

まずお言葉のポイントを整理してみます。
1)「高齢化に伴って国事行為などを縮小していくのは
無理がある」こと。
2)摂政を置くことも、「天皇が十分にその立場に
求められる務めを果たせない」点に変わりはないこと。
3)天皇が深刻な状態に陥った場合、社会が停滞し、
国民の暮らしに影響が及ぶと懸念されること。

陛下は、ご自分の体調を理由に国事行為や
その他の「象徴」としての行為を減らす(=選別する)ことは
無理だと考えておられます。
「こっちの行事にはお出ましになったけど、
あっちの式典にはお出ましになりません」ということは、
あってはならないとお考えになったのでしょう。
そして摂政を置くこともまた、天皇が天皇である以上、
お務めを果たすという点において十分ではないと
言及されています。
つまり明確に否定されているのです。
さらに「天皇の終焉」にあたっての行事と、
新時代に関わる行事が同時に進行するため、
行事に関わる人々や家族が「厳しい状況下」に
置かれる事態を何とか避けられないだろうかと
お考えになっています。

かなり踏み込んだ「お気持ちの表明」ですが、
ここで読み取れるのは、「わたくし」が一切ないことです。

「わたくし」が高齢でお務めを果たすのが大変だから
生前退位を希望されているのではありません。
それは次のお言葉にもはっきり表れています。

「これから先、従来のように重い務めを果たすことが
困難になった場合、どのように身を処していくことが、
国にとり、国民にとり、また、私のあとを歩む皇族に
とり良いことであるか
につき、考えるようになりました」

政府では一代限りの特別立法で対処しようという
案も出ているようです。
しかしそれは本当にお気持ちに添うものになるでしょうか。
陛下はこうもおっしゃっています。

「我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、
これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、
相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、
そして
象徴天皇の務めが常に途切れることなく、
安定的に続いていくこと
をひとえに念じ(ています)」

途切れることなく、安定的に続いていくこと。
一代限りの特別立法では、「安定的に続く」ことにはなりません。
天皇陛下はどなたが即位されても、必ずお年を召していかれるのですから。

陛下が模索しつつも形作ってこられた「象徴としての天皇」の
在り方を、私たち国民はもっと知らなければなりません。
どうすれば「途切れることなく安定的に続く」のか、
皇室典範の改正が必要なら、それをすればいい。
それが、「わたくし」のない天皇陛下にできる、
国民からの最大の恩返しでしょう。
政治家は、国民へ理解を求めるための議論を避けて、
小手先のパッチワーク的な対処でお茶を濁すべからず。

天皇というのは公の存在です。
無私の存在です。
国民のために祈ってくださる存在です。
それを一人の人間が、その生涯をかけて、
全身全霊で行なっていくことがどれほどのものか、
今こそ想像力をフルにはたらかせなければなりません。

そこから発せられたお言葉が、どれほどの意味を持つのか、
ということも含めて。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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