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小林よしのり
2016.6.8 15:36芸能など

「重版出来!」の最上もがに負けちゃならない


「重版出来!」で他の雑誌からの引き抜きに心が揺れ、

連載中の作品を終わらせる覚悟を固め、移籍するために

新作のコンテを描き始めた漫画家の話があった。

あの迷いは切実だった。

 

しかし現実の編集者は、漫画家の将来を思って、

移籍を承諾し、連載中の人気漫画の終了を認めるなんて、

そんな善良な編集者はいないだろう。

なんとしても移籍を食い止めるために、もっと悪辣な

手を使うものだ。

 

それにしても漫画家の彼女が最上もがだもんなあ。

可愛すぎるだろう。

あんな可愛い女を家に置いていたら、そりゃあ作品への

集中力も落ちるだろう。

女は「承認願望」が強くて、「かまってちゃん」が多いから、

最上もがもすぐ家出する。

そのたびに漫画家が仕事を遅らせる様子は、こんなに

情けない奴が連載続けられるかなと思っていたが、

野心を出して新作を描くときには、ついに女に向かって

「出ていけ!」と言い放った。

これが異様に気持ちよかった。

 

仕事のためなら女も捨てるくらいの覚悟がなけりゃ、

漫画家なんかすぐ潰れるだろう。

鬼にならなきゃダメだ。

一度は才能だけでヒットを出せるかもしれないが、

二度三度ヒット出すには、鬼にならなきゃダメだろう。

 

「重版出来!」は来週で最終回らしい。

面白いのに惜しいことだ。第二部を期待する。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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