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小林よしのり
2016.5.27 14:21政治

覚悟なき美しい偽善の言葉


オバマ大統領の広島訪問がこんなにも大イベントになる

とは思わなかった。

被爆者は地獄を知っているから、人生が苦悩に充ちて

しまったから、オバマの広島訪問が、神が降臨したかの

ように感じるのかもしれない。

被爆者はやむを得ない。感動してもやむを得ない。

 

だがわしはダメだ。マスコミも偽善者に見えるし、

オバマも安倍もよくもぬけぬけとあんな心にもないことを

言えるものだと思ってしまう。

 

わしがひねくれてるわけではなくて、日本が「核の傘」は

要らないと言えるはずがないからだ。

 

国連ではメキシコなど多数の国々が「核兵器廃絶」を主張

しているらしい。

その議論に欠席するのが核保有国であり、アメリカも当然

欠席しているという。

その上、呆れることに、他ならぬ被爆国・日本が、

「核兵器廃絶」に反対して、メキシコなどと衝突している。

 

当然、中国・ロシアという核保有国が隣りにあって、北朝鮮

という核開発を進めるイカれた国が恫喝しているからだ。

 

テレビを見ていると、誰もかれもが核廃絶を訴えているが、

本気なのだろうか?

国連で、日本が「核兵器廃絶」を主張する国々と連帯しても

いいのだろうか?

 

偽善は偽善であって、実行する気がないから、偽善なのである。

日本は自前の核兵器を保有しないのならば、「核の傘」に頼る

しかない。

「核の傘」に頼らぬならば、国民が総玉砕するくらいの覚悟で

国を守るしかない。

覚悟のない美しい偽善の言葉ばかり吐くのは、倫理観さえ

捨ててしまえば簡単なのだろうが、わしには神に叛く行為の

ような気がして、できないのである。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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