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高森明勅
2016.5.23 09:37

原爆の仕返しはしないでおいてやる

私は岡山県の出身。

だから小中学生の頃、教室で隣の広島の原爆投下による惨状を、
嫌というほど聞かされた。

だが語られるのは、決まって次の図式。

広島・長崎への原爆投下の悲劇は、日本の軍国主義のせい。

だから、それを反省して平和憲法を守ろう、と。

原爆も憲法も、アメリカからの理不尽かつ無慈悲な「拳骨」、
とは教えて貰えなかった。

でも子供心に、私はこう思っていた。
見ていろ、アメリカめ。いつか必ず仕返ししてやる」と。

残念ながら、
同じ気持ちを共有してくれる友人は余りいなかったが。

後年、ある知人が、在日米軍の司令官と酒を酌み交わした時の、
興味深い話をしてくれた。

その司令官は、アメリカによる原爆投下をどう思っているか、
率直に尋ねたらしい。

その時、彼はこんな答え方をした。

「勿論、断じて許せない。絶対仕返ししてやりたい。
だけどアメリカは今、
同盟国だから我慢して、仕返しはしないで
やるよ」と。

それを聞いて相手は、こんな感想を述べたという。

それが本当の気持ちだろうな。
これまで、
どの日本人にこの質問をしても皆、
もう昔のことだから気にしていない”などと答えた。
そんなはずはない。やっと日本人の正直な気持ちを聞くことが出来て、
安心した。
あれだけのことをやられて仕返しをしようとも思わない
腰抜けなら
、とても同盟国として一緒にやっていけない」と。

しかし残念ながら、同胞の女性が米軍関係者に惨殺されても、

タイミングが悪い」とか当のアメリカに気を使っているような、
情けない国に成り下がっているのが、偽らざる現実。

こんなザマでは、野蛮な核保有国に、あの国はもう1度、
核を落とされても、ヘラヘラ笑っているだけだから大丈夫、
と見くびられるても仕方がない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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