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高森明勅
2016.1.28 11:43

陛下のフィリピンへのお出まし

フィリピンは大東亜戦争最大の激戦地。

現地の人々も巻き込まれ、多数の死者が出た。

その為、同国では戦後暫く、強い反日感情が残った。

それが転換する契機が、皇太子時代の両陛下のご訪問だった。

この度は天皇として初めてのご訪問。

公式には国交正常化60周年を記念した国際親善。

しかし、陛下が続けて来られた「慰霊の旅」の大きな節目、
という性格が強いだろう。

鎮魂の曲「海行かば」に、
「大君の 辺(へ)にこそ死なめ かへりみはせじ」との一節がある。

今上陛下は、祖国の為に尊い一命を捧げられた英霊が戦死された場所
にまで、
わざわざご自身で御足を運ばれる。

国史上、かつて無かったこと。

ご高齢の陛下がそうまでして、歴史に対する厳粛な責任を背負い、
現代における聖なる務めを果たそうとされている。

それは図らざる、

今の日本への苛烈な道義的警告でもあるはずだ。

そのお姿を目に焼き付け、心に深く刻みたい。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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