『大東亜論』「愛国志士、決起ス」が発売されたが、
巻末の「妻妾同居の時代」がまた誤解を生む元となるかもしれない。
NHK朝ドラ「あさが来た」でも、結局、史実通りに話を作る気は
ないようで、新次郎と妾との間に子が生まれる件は隠されている。
「妾を持つ」こと自体が視聴者の反発を招きかねないのに、
「妻妾同居」となると、もう畜生の仕業としか思われないだろう。
もっとも穏健な一般視聴者向けの朝ドラでは、「妾を持つ」展開は
タブーかもしれない。
けれども、小林よしのりが史実に基づいて、「妻妾同居」への憧れ
を描いたっていいじゃないか!
三浦瑠麗氏との対談のときも、わしを「九州の風土と男尊女卑」の
感覚が残るかのように誤解していたが、全面的に誤解でもない。
わし自身の中で、本音と建て前が乖離しており、その葛藤を公に
しながら、男女平等の方に舵を切ろうと努力している真摯な態度を
もっと評価してほしいものだ。
「妻妾同居の時代」は、わしの本音をさらしながら、ただ懐古して
いるだけという虚しさを吐露している哀しい一本である。
女はわかってくれないだろうが、近ごろは男も分かってくれない
ほどの草食化が進んでいるのかもしれない。
けれどもわしは、あえて近代化した現代のタブーに触れてみた。
これを哀しいユーモアとして、読んでくれる読者がいることを
期待して。