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切通理作
2015.11.4 10:42

九条を深読み出来ないお前が悪い


小林よしのり氏が以前ブログで触れた、朝日新聞10
月4日掲載の、高校生による投稿『護憲派へ 自衛隊は違憲でしょ?』。

http://blogos.com/article/137424/

 

この時の投書が今日の朝日朝刊でふたたび取り上げられ「どう思いますか」と題し、それに対する意見の投稿が掲載されています。

 

掲載されているのは、四通の投書と、憲法学者の寄稿一つ。

 

「投稿された方にまったく同感です」として、憲法九条と自衛隊との整合性にストレートに疑問を投げかけた投書は一名(兵庫県49歳会社員)取り上げられただけです。

 

後は、国際法を持ち出して憲法の話とごっちゃに語りながら専守防衛なら合憲とする投書(岩手県67歳農業)、国民投票を前提に違憲か護憲かを決めるべきという、自分自身の意見はまったく書いていない投書(千葉県57歳主婦)、やはり論点には答えず国民が時間をかけて論議するべきだとする投書(福岡県68歳大学名誉教授)と、あまりにもアバウトな声が掲載。

 

そして憲法学者・木村草太の寄稿では、憲法13条にある国民の生命や自由、幸福追求の権利の尊重には「国の安全の確保」が必要なため、「必要最小限の個別的自衛権」のための組織である「自衛隊の存在」は合憲であるとし、また条文の文言にだけこだわるのではなく、日本国憲法全体の「非武装を選択できる国際社会の実現」を求める「理念」を読み解くべきだとしています。

 

しかし、日本国の憲法なのに国際社会全体の平和を願うなど絵に描いた餅そのものだし、その理念があるから個々の条文を独立して判断すると間違う……かのような論法で高校生を言いくるめようとするのは、いかがなものでしょうか。

 

一国の憲法とは、国際社会の理想を書くものなのでしょうか。そしてその理想が正しければ、個々の条文はいくら矛盾していても、理想に照らし合わせて深読みしないお前が悪い……という事なのでしょうか?

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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