ゴー宣DOJO

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高森明勅
2015.10.12 15:26

憲法9条を巡る「現実」

記念すべき第50回ゴー宣道場。

テーマは憲法9条。

ゲストは前回に続き、護憲派の松竹伸幸氏。

堀部師範も久しぶりに参加して下さった。

道場では、なるべく松竹氏に発言の機会を多く提供すべきだ、
と考えていた。

それから堀部師範にも。

又、今回のようなテーマだからこそ、切通さんや泉美さん、
それから司会の笹さんにも活発に発言して頂くことが、
道場の成功には大切だと。

勿論、門弟や道場生は小林よしのりさんの発言を
一番多く聴きたがってい
たはず。

当日、私の発言で舌足らずな部分があれば、
もとより私の力不足のせいだ。

ただ極力、発言を控えよう、と思っていた。

多様な本音の意見が自由闊達に交換され、議論が深まるプロセス
こそ、“思想する”
場としての道場の値打ちのはずだから。

その意味で第2部の冒頭、憲法9条を擁護する参加者たちの意見を
まとめて聞けたのは、
興味深かった。

9条についての私の考え方は至ってシンプル。

アメリカは日本を無理やり戦争に追い込み、
原爆投下をはじめ戦争犯罪を山ほど積み上げて、勝利。

占領下、自らの武力を背景に日本に対して武装解除を強制し、
それを固定化する憲法まで押し付けた。

ところが、たちまち東西冷戦に突入。

そこで、日本を東アジアでの冷戦の前線基地と位置付け、
限定的に再武装させると共に、占領解除後も日米安保条約を結んで、
米軍を居座らせた。

その結果、「平和」憲法下に米軍基地と、米軍の戦略を補完する
戦力”未満の自衛隊が併存したまま、ポスト冷戦の現在に至る。

9条の縛りによって長年、独立国として又、
国際社会における
主要国として当然、背負うべき責任を回避し、
ひたすらアメリカに
依存し従属し続けて来たので、それが殆ど「
骨肉」化したかのように
さえ見える“虚弱体質”に。

挙げ句の果てには、その虚弱体質を口実にしてまで、
対米依存を長く続けようとする、横着な国民に成り下がった。

果たして、こんな状態のままでいいのか、というだけの話。

9条を抱えたまま、むしろ9条の「拘束」
ゆえに戦争に踏み込む
というシナリオが、
どれだけリアリティーを帯びるかは、
国民の意思より、
主にアメリカの思惑次第という、
“平和”
憲法下の現実から目を背けてはならない。

道場最後の、50回記念の色紙と饅頭をプレゼントするジャンケンの
盛り上がり
は、予想以上。

椅子の上に立って、会場の全員とジャンケンをする泉美さんの姿が、
眩しく見え
たーと言っては、やや大袈裟か。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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