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小林よしのり
2015.7.21 03:30政治

ドイツの後方支援は安保法制の先例である


「報道ステーション」ですごい特集をやっていた。

ドイツは日本と同じように憲法解釈を変えて、集団的自衛権

を行使できるようにし、アフガニスタンで後方支援をやった

のだ。

その様子を流していたが、タリバンに襲撃され、完全な戦闘状態

になっていた。

それが後方支援の実態なのだ。

 

ドイツ兵たちは、後方での治安維持や復興支援だから安全だと

言われて派兵されたのだが、毎日のように戦闘に巻き込まれる。

ドイツ軍の基地には1年に31本のロケット弾を受け、兵たちは

20回も銃撃戦に巻き込まれ、55人の死者を出している。

 

そして哀れなことに、このドイツ兵の死者や犠牲者は、全くの

無意味だった。

アメリカの侵略戦争に加担して敗北したのだから完全に犬死に

なのである。

自分の祖国を守るために死んだのではない。

悪の後方支援で死ぬのだから

無残と言うしかない!

 

日本もアメリカのイラクへの侵略戦争を大いに支持して、

日米同盟のアリバイ作りでサマワに自衛隊を出した。

幸いにも現地では戦死者を出さなかったが、帰還した自衛官

の中には自殺者もPTSDもたくさん出ている。

実はその時も、日本国民には秘密裡に、米軍のために

武器弾薬や米兵の運搬という後方支援をしていたようだ。

 

安倍首相はベトナム戦争・イラク戦争のような事態には、

集団的自衛権は行使しないと言うが、行使しなければ

日米同盟の危機になり、それは日本国の存立危機だという

論法が必ず首をもたげてくるだろう。

 

自衛隊も将来はドイツのあとを追うことになる。

軍人なのだから、祖国を守るための犠牲なら名誉であろう。

だが、単にアメリカの侵略戦争の後方支援で死ぬのならば、

犬死にである。

戦死者の弔いについて考えるべきではなかろうか?

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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