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高森明勅
2015.6.7 16:50

抑止力とは?

安倍政権が国会に提出した安保法制関連法案。

一体、何のため?

政府は抑止力を高めるため、と説明している。

だが中身はどうか。

あっさり言えば、リスクを高めてでも、
アメリカをはじめ他国への軍事的貢献を新規に始めたり、
拡大するーというもの。

それが何故、抑止力を高めることになるのか?

ここまで日本が献身的に尽くせば、アメリカがすげなくすることは、
よもやあるまいという、「
義理と人情」論。

そんな“甘え”が国際社会で通用すると思っているのか。

これぞ“お花畑”。

抑止力を高めたければ、核武装の検討も含め、
とにかく自前の防衛力を制度や装備など、あらゆる面で強化する。

そこから始めるのが当然の順序。

抑止力というのは、予想される敵国を打倒し尽くすのに
十分な武力を備えなければなら
ないということでは、必ずしもない。

相手国が安易に手を出すと、深刻なダメージを被るだけの用意が、
予めあればそれで良い。

個人の喧嘩でも、あいつと喧嘩をすると最後には勝てるだろうが、
腕の1本や目玉の1つ位は失うかも知れないと思わせると、
簡単に手を出せないものだ。

そのために憲法改正が必要なら、憲法を改正する。

アメリカをはじめ関係諸国に説明が必要なら、
スタンディングオベーションを受けるのは難しくても、
丁寧に毅然と説明する。

勿論、それら一切の大前提として、国民に理解と覚悟を求める。

そうした手順を“粛々と”進めればよい話。

そもそも、国民に理解と覚悟を求める真面目な努力をせず、
言葉の誤魔化しで抑止力を高めるなんて土台、無理。

骨絡みのアメリカ依存も極まれりと言う他ない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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