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高森明勅
2015.5.4 15:45

悪夢の4月(3)

4月29日、「昭和の日」。

この日、今のわが国の政界で最も“愛国”的、
かつ“保守”的な政治家の1人と見られている首相が、
米議会で演説。

その中で、日米の関係を「希望の同盟」と呼んだ。

だが、その実態は?

「日米関係は本当の同盟関係ではない。
アメリカが運営している帝国システムにすぎない」
(ロバート・
アート)。

従って、日本の現状は「事実上の米国の被保護国」
ブレジンスキー)。

でも、見捨てられるかも知れない。

その不安から、国民の合意や国内手続きは後回しにしても、
とにかくアメリカにこれまで以上、精一杯“尽くそう”というのが、
今回のガイドライン再改定。

そこで出てきたキャッチコピーが「希望の同盟」。

分かりやすく言い換えると「見捨てないで!」となる。

その手土産と哀願をアメリカは歓迎。

国内でも拍手喝采する人々がいた。

絶望的な気分になる。

確かに中国の軍拡は脅威であり、
今のところ世界最強であるアメリカとの関係も勿論、重要。

だが、「真の主権回復」を射程に入れず、ひたすら中国に怯え、
アメリカへの従属を無原則に深めて行くのは、むしろ国益を損なう。

自分の国は自分で守る‐という、
一人前の独立国なら当たり前の覚悟を、いつまで回避し続けるのか。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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