ゴー宣DOJO

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小林よしのり
2015.4.12 14:05ゴー宣道場

肝を冷やす衝撃的な事件


「ゴー宣道場」熱く終わった。

第一部はガンガン飛ばして濃い議論になったが、第二部は

参加者からの質問に答えながら、笑いを交えたざっくばらんな

ものになった。

ほっと安堵して控室に戻り、門弟が集めてくれたアンケートを

師範方が読んでいるときだった。

この日一番、胆を冷やす出来事が起こった。

 

小学生の女の子が、自分で書いたアンケートを、母親と共に

控え室に持ってきてくれた。

そのシングルマザーは、以前からかなりクレバーな門弟だと

思っていたが、子供もさすがにハキハキと明瞭にしゃべる

可愛い子に育っている。

 

母と子とわしの3人で写真を撮るとき、母が緊張してたのか、

恐るべきことを口走った。

「こ、この子は小林先生のDNAを受け継いでおります!」

 

(は?はあああああ?)

 

(わし、付き合った?) (わしの子供?) 

 

(し・・してないよね?)

 

(何でそんなこと言うんだろ?)

 

(師範方はどう思うわけ?) (聞いてしまったよね?)

 

ものすごい混乱で師範方の様子を覗うと・・・

高森・切通はアンケートを読んでる振りしたまま、何かを

思っている。

意地の悪いのは泉美さんで、じわあああっと上げた顔には

「聞いてしまったぞ」という不気味な笑みが浮かんでいる。

なんと笹さんも顔を上げて、わしと少女の顔を見比べだした。

 

こらえきれずにわしは口を開いた。

「い・・いや、今のは誤解を生む発言じゃないかな?」

「おかあたま、DNAは違う意味でしゅよね?」

 

母親は「『ゴー宣』読者の親が育てている子供です」と

言いたかっただけらしい。けれども、

「この子は小林先生のDNAを受け継いでおります!」

と明言されたら、もっと深い、もっと衝撃的なドラマを

想像してしまうのが世間というものではなかろうか?

 

泉美さんは、わしが昔から付き合っていた愛人が、実は

「ゴー宣道場」の門弟として、毎回わしに会いに来ていて、

とうとう「あの時の子がこんなに立派に育っています」と、

紹介しに来たと思ったらしい。

 

よしりん企画の時浦が、門弟の女性に恋をして、女性の

方から籠絡されて、ついに結婚してしまった事件があった

ばかりだ。

わしなら門弟女性とすでに子供まで作っていたと思われても

仕方がない。

 

だがわしは時浦のように公私混同する男ではない。

「ゴー宣道場」は公論の場である!

愛人が隠し子を連れてくるようなドラマは起こらないだろう。

ああ、恐かった。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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