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高森明勅
2015.4.11 14:41

英霊が涙を流して…

『文藝春秋』5月号に、陛下のパラオご訪問を巡り、
渡邉允前侍従長の証言(対談)と、また別にペリリュー島の
生き残りの方2人の感想(インタビュー)
の記事が載っている。

これを2つ突き合わせると、この度のパラオご訪問の意味が、
立体的に浮かび上がってくる。

詳しくは直接、記事を読んで頂くしかないが、
その一部を紹介する。

まずは渡邉前侍従長の証言から。

平成8年に侍従長を拝命しましたが、着任から暫くして、
陛下から、国外でも戦没者を慰霊したい、そのために南太平洋の島々を
訪れたいというお話がありました。

年とともに、この島々への…お気持ちが強くなっていきました。

まずは現状を知ろうと宮内庁、外務省、警察庁から
現地調査に行きました。

どの島も飛行場が小さくて政府専用機が飛べなかったり、
十分な宿泊施設や車両が準備できなかったり
ご訪問は無理であろうと申し上げ、陛下もご納得になりました。

ところが、程なくして、あらためて陛下から
サイパンだけでも行けないか』というお話があったのです。

確かにサイパンだけならば、飛行場も宿泊施設も整っています。

それで戦後60年の節目にサイパンのご訪問が実現したわけです。

サイパンに訪問された後もずっと他の島々のことを
気にかけ続けて
こられて、戦後70年という機会に、
パラオご訪問が実現したのでしょう。

10年前に比べれば、パラオの受け入れ態勢も改善した
ということでした」

 
次に生き残りのお1人、土田喜代一氏(95歳)の感想。

ペリリュー島というのは非常に小さな島で、
一般の人でも行きづらい場所です。

そこに陛下が行かれるということになれば、
靖国神社にいる戦友たちがビックリするんじゃなかろうかと思って

…『陛下がよもやこの島まで来られるとは夢にも思いませんでした。
ありがとうございました』と御霊は喜び

どれだけ英霊たちが感激されるだろうかなあと思っています。

戦友の中には『天皇陛下万歳』との言葉を残して
息絶えた者たちもいましたから」

 尾池隆氏(93歳)。

「(嗚咽をもらしながらー引用者)天皇陛下がパラオに行くなんて、
英霊が涙を流して喜びますよ。

あの悲惨な最期を遂げた戦友たちが『よく来てくれた』
迎えてくれるだろうと思います。

日本のために死んだ甲斐があったわい』と、こう思うんじゃないか。

嗚呼、ペリリュー島の英霊がどれほど喜ぶかなあ」

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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