ゴー宣DOJO

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小林よしのり
2015.4.9 06:58

陛下のペリリュー島訪問に思う


天皇陛下がパラオ・ペリリュー島を訪問された。

 

わしは小さなボートでコロール島から渡ったが、前日に天候が

大荒れになった後だったので、まだ波の高さがすごくて、

尻を何度も船底にぶつけながら、水浸しになって航行した。

波が高くなりすぎると、何度かボートを止めて、波の様子を

窺い、再び動き出すという怖さに一時間ほど耐え、ようやく

ペリリューに上陸したものだ。

 

まさか両陛下があんなボートで渡るわけにはいかないから、

ご不便かもしれないが巡視艇に宿泊して、ヘリで行かれる

のは正しいと思う。

 

パラオの様子がニュースで流れているが、小さな島なので、

わしも行ったところばかりだ。

ルポを描かないままになってしまったが、現在執筆中の

例の大作はこの島の戦いが設定の舞台である。

だが史実よりも、センチメンタリズムが通用しない究極の

地上戦での心理劇を描くことに、わしの興味はあった。

 

ペリリューでは米軍を迎え撃つために、島民を避難させたのが、

現在の島民感情の良さに繋がっている。

沖縄戦では本来、首里城で決戦しておけばよかったのに、

南部撤退で長期戦に持ち込んだのが失敗だった。

一般住民を巻き込んでしまったのが、現在の沖縄県民の軍隊

アレルギーに繋がっている。

 

戦争における作戦は重要である。

勝つためなら何でもありだと考えて、道義を軽んじると、

後世に禍根を残すことが確かにある。

次の戦争では、道義なき作戦、大義なき戦争が何を残すかを、

よく考えた方がいいと忠告しておく。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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