小林よしのりライジングVol.125では
歴史認識問題で「ドイツに見習え」は誤りだが、
脱原発で「ドイツに見習え」は正しい!
という主張をしています。
一方、今日(3.23)の産経新聞
「(自称)正論」欄では、
原発御用学者の澤昭裕が
脱原発で「ドイツに見習え」は誤りだ
という詭弁を書いています。
澤はドイツでまだ9基の原発が
稼働中であることを挙げていますが、
ドイツは福島第1原発事故後に
原発8基を即時廃止、
現在稼働中の9基も2020年末までの
廃止が決定しています。
澤はドイツで9基の原発が稼働している理由を
「これ以上電気料金が上昇すれば、
日米との産業競争力格差が
広がることを懸念しているからだ」
としていますが、
おそらく口から出まかせでしょう。
そんな理由で
原発を動かしているのなら、
2020年末で廃止という
決定をするはずありません。
その他、澤が挙げるマイナス要素は、
南北を結ぶ大規模送電網の整備の問題、
天候による出力変動に対応する褐炭・石炭火力の維持、
気候変動防止、欧州電力市場の在り方といった、
実際にドイツ国内でも懸念されている問題ですが、
澤が一つ隠していることがあります。
以上のような懸念材料があっても、
ドイツには原発維持の世論が
皆無だということです。
ドイツでは、
「再生可能エネルギー推進と
脱原発でなければ、
選挙に勝つことはできない」
と言われています。
懸念材料があっても、
それを克服していこうというコンセンサスがあり、
さらに他国に先んじて取り組むことで、
新たな輸出ビジネスを開拓しようとしているのです。
独電力最大手エーオンのエネルギー政策担当者は
「突然の決定は歓迎すべきものではなかった。
批判もした。しかし、原子力はやめざるを得ない」
といい、同社は2014年11月、
不採算部門となった原子力、火力の
従来型発電事業を完全分離し、
社名を継ぐ本体は再生可能エネルギーに
特化する方針を発表したそうです。
電力会社が原発利権にしがみついて、
御用学者にインチキ言わせまくる
ようなことをしなかったわけで、
その点、ドイツをうらやましく思います。
以下の記事を参考にしました。
<欧州転換 原子力>処分地選び 民意重視/(1)ドイツ(上)脱原発の今
<欧州転換 原子力>再生エネに競争原理/(2)ドイツ(下)先駆者の自負