フランスが本格的にイスラム国と戦い始め、空母から
戦闘機を発信させ、空爆を繰り返している。
あの空爆の下には、イスラム国に占領されて、
生きるために従っている無辜の民もいるだろう。
女子供もいるだろう。
親を失った子供の中から、また新たなテロリストが
生まれるだろう。
あるいは孤児となった者たちが戦闘訓練を受けて、
有志連合の地上軍と直接戦闘をして、虐殺されていく
ことだろう。
フランスは、9・11のときはイラク戦争に反対して、
アメリカとは一線を画していたのに、格差社会の
しわ寄せが移民の貧困を産み、希望の見えない
イスラム教徒の若者が、イスラム国に希望を見出して
しまうようになった。
結局、「自由原理主義」を奉じるフランスが、労働力
だけを目当てに移民を受け入れた失策から生まれた
問題だ。
国内にテロリストを育てる土壌が出来てしまったため、
フランスはイスラム国には敵意を持つようになった。
シャルリー・エブドの風刺画事件以降、国内のテロの
リスクも益々高まったから、排外主義者も増えている
だろうし、物騒すぎてしばらくパリには行けない。
去年の5月はパリで美食を楽しんで、毎日ワインを
飲んでいたのが懐かしい。
楽しかったから、また行きたいと思うのだが、安心して
行ける日はいつになることやら。
イスラム国を「殲滅」なんてことが出来るのなら、
さっさと達成してほしいものだが、地上軍を出しても、
連中がシリアに逃げ込んだらどうするのか?
イラク軍だけで、その後のイラクの秩序を守れるのか?
そのうちまた体制を整えたイスラム国が、シリアから
疑似国境線を越えてくることもあり得る。
アメーバ状のイスラム国は、国境線を意識しないから、
触手を伸ばしたり、引っ込めたり、果たして「殲滅」
なんてことが出来るのかどうか?
そもそもイラク戦争のせいでイスラム国なんか生まれて
しまったのだから、考えてみればフランスも米国の
しりぬぐいをさせられているようなものだ。
フランス人も9・11から考えれば、ずいぶん劣化した。
エマニュエル・トッドが嘆くのはよくわかる。
諸悪の根源はアメリカなのだが、フランス人も、日本人
も、そこを考えたくない連中ばかりなのだ。
わしは単なる「反米主義者」ではない。
悪いものは悪いと、日本人の道徳観で言ってるだけだ。