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高森明勅
2015.2.21 08:38

安倍首相「国会ヤジ」の問題点

安倍首相が国会で、民主党議員の質問に繰り返しヤジを浴びせた。

これまで、首相本人によるこうしたヤジの前例はどうなのか? 

随分みっともない振る舞いだ。

まず心理的背景としては、西川農水相の献金疑惑への追及が、
安倍氏にはストレスだったのだろう。

だから平然と聞き流せなかった。

そうした心理的な弱みを公の場で晒すのは、
政治家としても人間としても、未熟さの表れ。

また、「自民一強」「安倍一強」と言われる政治状況で、
慢心があり、
民主党のくせに、という侮りもある。

更に、この種のヤジに溜飲を下げるタイプの、
タチの良くない支持者も頭をよぎったのだろう。

で、委員長にたしなめられる失態を犯した。

その問題点は、民主党など特定政党や特定議員への侮辱ではなく、
首相を指名する「国民の代表機関」である国会そのものの権威を、
首相自身がことさら棄損したこと。

これは、首相が自らの地位と権限の根拠をないがしろにする行為で、
他でもない国民を愚弄したことになる。

それに加えて、首相が軽率にこうした品位を欠く行為に及べば、
任命者である天皇陛下の尊厳をも傷つけてしまう。

一事が万事と言う。安倍首相の驕り以外の何物でもなかろう。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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