引き続き、
男系固執派がいつも持ち出す、
「フランス王室では
側室なしで男系限定継承を
800年以上続けたから
日本でも可能」
という説に対する反論です!
谷田川氏の「フランス王室論」に対する反論です。
1.確かにカペー家は一夫一婦で男系が続いている。
しかし、「一夫一婦」といっても生涯妻が一人だった訳ではない。
カペー家の代々の当主は妻が2人〜4人いる。
理由は簡単で離婚(結婚を無効に)したからである。
相性が合わないとか別の女に惚れたとか理由は様々だが
ロベール2世(カペー朝2代目)、ルイ7世(カペー朝6代目)、
アンリ4世(ブルボン朝初代)は男子が産まれないために妻を離縁し、
再婚している。
「伴侶は生涯一人」ということであれば実に早い段階で
カペー家の男系は途絶えていたのである。
2.ヨーロッパの貴族は何世代離れても貴族である。
ヴァロワ朝のフランソワ1世は150年以上、ブルボン朝の
アンリ4世は350年以上も離れた血筋で王位を継承している。
ところが皇室においては天皇から血筋が離れれば臣籍降下となる。
皇室は聖域であり聖域から離れれば俗人となるのである。
ある時期に宮家が充実していてもある時を境に宮家が
減少してしまう事がある。
ヨーロッパの王室のようにとにかく血筋を辿れば
皇位継承者がみつかるというものではない。
3.中世の貴族は出産と子育てが切り離されており
出産後の子供の面倒は乳母が見る。
母親は子育てから解放され、次の子供を産む。
まさに子供を産む機械である。
フランス王室の正妻が5人〜10人の子供を産む事は珍しくない。
出産・子育てに関する感覚が現在と全く違うのであり、現在の皇室と
同列に論ずる事はできない。
4.フランス王室における男系男子限定は政治の産物にすぎない。
フランス王室が女系を認めるとイギリス王室のプランタジネット家に
フランス王室の王位継承権が発生するため、サリカ法典を掘り起こして
王位継承における男系男子限定の根拠にしたのである。
男系論者のように「2000年続いた男系そのものに価値がある」など
と言えばフランス人は目を丸くするだろう。
以上です。