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高森明勅
2015.1.22 03:00

人質殺害も織り込み済み?

いつの間にか、今回の人質事件への政府の対応のキーワードが、
人命第1」ではなく、「テロには屈しない」に変わっている。

というより、最初から身代金を支払うつもりなど、
更々ないのだろう。

身代金を支払えば、イスラム国を援助することになるし、
次々と人質事件を誘発しかねない。

だから、それはそれで良い。

残酷なようだが、やむを得ない。

私の家族や私自身が人質でも、そう考える。

だが、先に言ったように、
政府は2人がこのような扱いを受けるのを承知で、
イスラム国対策支援を打ち出したのか、どうか。

2人が拘束されていた事実は知っていたはずだから、
極度の平和ボケでなければ当然、予想していたのだろう。

予想していたのなら、
今回のような事態でも2人を助け出せる確かな見込みがあったのか
どうか。

今のところ、残念ながらそうした見込みがあったとは、考えにくい。

目を背けたくなる程の無為無策ぶりを、
ひたすら曝け出しているようにしか見えない。

それが表面上だけのことなら勿論、結構。

身代金を支払わず、しかも2人を無事救出する水際だった手腕を、
政府が発揮出来るならば。

もしそうでなければ、端から2人の殺害の可能性も織り込んで、
イスラム国対策支援を安倍首相の中東歴訪の手土産にして、
外交上の成果を狙ったことになる。

果たしてどうか。

やがてそれも明らかになる。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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